小谷 私は昔から絵を書くことが大好きで将来はデザインの仕事をしてみたいなと思っていました。でも周りを見てみるともっとすごい子達がたくさんいて、デザインを仕事にするのは難しいかもと悩んでいて。そんな時に担任の先生が公務員はどう? って勧めてくれて、それをきっかけに自分の好きなことを振り返ると、地元が好きで、飛騨に貢献できることができたらいいなと思い高校卒業後、飛騨市役所で働くことを決めました。
山下 私は飛騨を出たいと思っていました。具体的な仕事についてはイメージが固まっていなかったんですが、子供が好きだったので子供に関わる仕事をしたいなと思ってて! 先生に相談したら保育士を進めてもらって名古屋の保育士専門学校に行くことを決めました。何でも自分でやらないといけないのは大変だけど、その分両親のありがたみが分かって、以前よりも家族と仲良くなったし自分で何でもするスキルもついたので、そういった点で名古屋に出てきてよかったと思っています。
木元 私は高校生のとき何になりたいとか正直なくて。高校の試験もなんでこんなのやるんや? と必死に勉強することに意味を見出せなくてモヤモヤしてました(笑)でも英語の勉強は好きで、そんなとき先生が「受験のためじゃなくて自分の興味のあることを学んでいいんだよ」と言ってくれて、そこから気持ちが楽になり勉強も頑張れるようになりました。愛知の大学に行き、そこではそれまで知らなかった学問や世界をみることができてとても面白かったです。色んな出会いや経験が巡り巡って繋がって、今飛騨の酒造で働いているのですが納得感のある人生を歩いていると思います。
水邊 私も将来のことは当時全然考えていなくて、みんなが大学に行くから、先生がそう言うから、そしてとにかく都会に行きたいという気持ちで勉強していたという感じでした(笑)。大学進学を機に都会へ出て、そのまま東京で就職して3年ほど働いたあと昨年末に飛騨に戻ってきました。都会にいることで得られる情報の差に驚いたこと、海外でのカルチャーショック、飛騨を出て初めて気づいた地元の良さなど多くのことを飛騨の外で実感して、それらをひっくるめて今とても楽しく飛騨で働いています。
木元 小谷さん、山下さんが高校の時からやりたいことをちゃんと考えて、実際に今その仕事で生き生きと働いていることが本当にすごい!
水邊 本当に! そして2人の人生を変える的確なアドバイスをした担任の先生はとても素敵ですね! いろんな考えや思いを抱えて進路選択をすると思うのですが、飛騨市の学生の高校卒業後の進路について市長はどう思いますか?
都竹市長 飛騨は都市部と比べると周りに選択肢が少ないですよね。
全員 そうですね、本当に。
都竹市長 飛騨を出るか、出ないかがまず大きな選択肢として目の前に降ってきますよね。これが1つ大きなハードルにはなるけれど、今ではかなり低いものになったと思います。 一旦飛騨を出て戻ってくるのもいいことだし、5年後10年後にはまた違った考えになるかもしれない。そしてそれら全部が自由でいいんだよね。もっとこれからそういう自由な進路選択ができる時代になっていくと思います。
木元 すごくそう思います。自分たちが高校生の時に比べ、情報を得るのはスマホでより簡単になったし、場所を選ばず学んだり働いたりすることはできますよね!
周りに流されず、
いい決断をするコツって何ですか?
山下 進路選択もそうですし、私は名古屋で一人暮らしをしているので普段の生活でも、自分で決めないといけないことばかりです。市長はどうやって決断しているんですか?
都竹市長 うーん深い質問ですね(笑)僕はハッピーになる自分の姿がイメージできるか?が大事だと思います。 苦しいこともあるけど、それでもその先にハッピーな未来が想像できたらそれは自分にとって正しい決断だと思います。そして、年を重ねるごとにハッピーの数も質も変わってくるんですよね!
山下 私は高校生の時、飛騨にイオンが欲しいです!って市長に言いましたよね。
全員 爆笑
山下 あの時はイオンが出来たらハッピーだと思っていたのですが、今は保育士をしていて子供達の成長を感じる瞬間が本当に幸せです。〝自分のハッピーは変わっていく〟ってこういうことなんだなって思いました! 実際に仕事に行くというよりは子供たちに会いに行くという感覚が大きいんです。子供たちに会えることが仕事という今の環境がとても自分に合っていると思います。
小谷 私は公務員を目指すと言った時、周りの人から「ずっと飛騨市におるの?」「大学行って一度外の世界を見た方がいいよ!」って言われたんです。でも、自分が大学に行って何をしたいか、その先どんな仕事をしているかというイメージができなくて。目標が無いのに行く場所ではないなと思い、それなら大学4年間分の時間を一足先に飛騨で働いて社会人として経験を積みたいと考えて決断しました。そして今、飛騨市役所で働いていて仕事を通して市民の方に喜んでもらえることが私にとってとてもハッピーなことなので、この仕事をしてよかったなとすごく思います。
水邊 そこまで高校生の時に将来のことを考えて意思を持って決断していたことが本当にすごいと思います。私は今振り返ると大学受験はかなり周りに流されてしてしまって、自分の意思で決断できるようになったのは大学に入ってからでした。憧れの都会でワクワクする気持ちがもちろんあったのですが、それと同時に焦るようなウズウズする気持ちを抱くようになって。こんなに何でもあって、色んなチャンスがあるのに行動しないのはせっかく上京したのにもったいない! やりたいことに挑戦しないと! とハッとした瞬間があり、私にとっては外の世界に出たことが大きなターニングポイントになったと思います。
木元 いい決断ができるタイミングや出会いは人それぞれ違うし色々あるよね! コロナになって今まですることがなかったような決断をする場面もすごく出てきたように思います。自分自身に関していうと、私は酒蔵の海外部署で仕事をしているんですがコロナの影響で3月くらいにほぼ業務がストップしてしまったんです。でも逆に今だからできることって何だろうと考えて、SNSで前以上に発信をしたりオンラインツアーをしたりと行動したら、意外とフットワーク軽く新たに面白い仕事ができるじゃん! と気付きました。もし今、自分が進路選択を迫られる年だったら「何で自分たちの学年なの!」というような気持ちになってしまうと思うんですよね。でも、逆にこんな時だからこそ、自分の頭で〝何が今できるか〟〝何をしたいか〟を考えるための有効な時間にして決断と行動をすることがとても大事だと思います。
気になるみんなの情報収集!
SNSはどうやって使ってる?
水邊 私はこの頃ツイッターが多いです。気になる人や尊敬する人の発信をすぐにキャッチできるのでよく使っています。最近「Inspire High」という13ー19歳のためのクリエイティブな大人と交流できるオンラインスクールをツイッターで見つけて自分が今高校生だったらすごく参加したいな! と思っていました。
都竹市長 僕は主にFacebookを使っています。尊敬している人の発信は保存して後で見返せるようにしたり、市民の方の何気ない書き込みをFacebookで見て実際の政策に移すこともよくあります。SNSを見ているとその時々の人の感情の〝空気感や温度感〟を感じることができるので、とても役立てています。そういった具現化できない人々の感情を察知することは非常に大事だと思います。
小谷 私は少し怖いイメージがあって高校生の時は使っていなかったんです。でも社会人になってからインスタグラムを始めました。離れた場所にいる友達の近況を知ることができるのはとても嬉しくてもっと早くから使えばよかったと思いました。
都竹市長 誹謗中傷や炎上、ネット犯罪のような危険は正しく理解した上で楽しく有効に使ことが大事ですよね。SNSを含むインターネットの普及によって、僕たちの時代よりも今は格段に「自分の好き」に出会う速度は早まり範囲は広くなっていると思います。
また飛騨市役所はSNSに力を入れているので、それに対してポジティブな反応をいただけることや、市民のみなさんの率直な意見をSNSを通してリアルタイムで感じることができるのでその点でも非常に重要だと感じています。
水邊 確かに飛騨市はSNSに強い印象があります! 最近ではSNS経由で採用をしている企業もあるし、使い方次第で場所に関わらず可能性は広がりますね! 情報は発信する人に集まるので情報収拾だけでなく発信も大事ですね。
山下 私はSNSは全部やっているんですが、主にインスタグラムを使うことが多いです。基本的にはタイムラインを流し見をして、その中で気になった投稿があればそこからその人やショップへ飛んでもっと詳しい情報を得るというように使っています。あとは欲しい情報によってSNSを使い分けています。ファッションなど写真で直感的に情報を得たい場合はインスタグラムで、何かの口コミなど具体的でリアルタイムの情報が欲しい時はツイッターを使っています。
木元 私は会社でもSNSを使っているのでうまく活用することって本当に大事だと感じています! 使い方次第でとても有益な情報を得たり、好きなように自己表現できるツールなので、単に危ないものだと蓋をせずに学校でももっとオープンにいい活用方法についてなど話せる場があるといいですよね。
最後に市長から高校生へのメッセージ
コロナ渦で誰もが不安だと思います。 行きたかった企業の採用が中止になったり、どうして自分の代でこんなことが起きるんだって悲観的な気持ちになってしまったり。でもちょっと考え方を変えて「じゃあ、こういう時に強い会社ってどこだろう? ポジティブに情報を発信している団体ってどこだろう?」と見てみると全く違う世界に目を向けることができると思います。考え方次第で視野と可能性を広げる大きなチャンスになるはずです。
そしてハッピーについて話しましたが、その本質や仕事の報酬は自分のしたことで誰かが喜んでくれることだと僕は思うんです。これを追求していくことが仕事ってことなんじゃないかな。だからそういう視点で仕事について考えてみてほしいです。
人との出会いもそうだけど、自分自身とも「一期一会」。そのときの思いや感情を大切にして世界を見つめ、仕事を通じて誰かに喜んでもらえる人生を実現して欲しいです。