あなたにとっての
「豊かさ」とは何ですか?
竹之内「いつでもみんなが笑って過ごせること」です。人と会ってくだらないことでも笑って話している時間が一番幸せで、豊かさを感じます。
千田「仕事が充実していて、みんなが安全で笑顔で暮らせる町」です。仕事の充実も大事ですが、特にみんなが安全に過ごせる生活環境や笑顔でいられることが豊かだなと思っています。
藤堂「好きなことやしたいことが出来ること」です。体を動かすことが好きなんですが、仕事をするようになっても好きなことをする時間があれば、ストレスも解消できて笑顔で過ごせると思います。
大橋「ないものや欲しいものを作ることができること」です。以前は欲しいものを「買うことができる」のが豊かさだと思っていました。飛驒市に移住して、この「node」という場所を市に提案して作らせていただく経験もして、自分で作れるのって豊かだな~と感じるようになりました。
都竹市長「気持ちが満たされて穏やかな状態」です。経済的な豊かさにはすぐに到達できるけれど、気持ちの充実は自分だけじゃなく、周り全体が整って穏やかじゃないと感じられない。そのためには町や人間関係の中で関わりながら何かを実現出来ることが大切だと思いますね。自分は今豊かか?と聞かれるとしたら、豊かで満ち足りているなあと思っています。
お互いの「豊かさ」を聞いて
どうですか?
藤堂 大橋さんの「ないものを作ればいい」という発想が自分の中になかったので、その考え方があったのか! と思いました。
大橋 何でもとはいかないけど、自分で作るのは楽しいですね。飛驒の人は自分で作ろう・直そうという気質の人が多いなと思います。
千田 都竹市長の「気持ちの充実」というお話を聞いて、自分も「笑顔」と書いたんですが、そこが増えることがやっぱり重要だと思いました。
藤堂 みなさん経済的に満たされるだけでは豊かとは言えないという共通点があって、気持ちの面で満足する大事さを感じました。
都竹市長 今の高校生の皆さんは小さい頃から、人との関わりや考える時間を持って学ぶ機会が多くなっているので、物質的な「豊かさ」だけじゃなく、周りと関わりながら気持ちを満たしたり、なりたい姿を実現する力を持っているんだね。
経済面では都会の給与水準が高いイメージがありますが、中間層の可処分所得から生活に必要な「基礎費用」や通勤時間などの「機会費用」を差し引くと、東京都より地方がより自由に使えるお金が多いというデータが国土交通省より出ています。(国土交通省WEBサイト、公表資料「都道府県別の経済的な豊かさ(可処分所得と基礎支出)」より)地方で充実して暮らすことは、精神的にも経済的にも豊かであると言えるのかもしれませんね。
では、地方で実現できる
「楽しさ」について考えてみましょう。
藤堂 大橋さんの「ないものを作ればいい」という発想が自分の中になかったので、その考え方があったのか! と思いました。
大橋 飛驒市に来るまでは「まちづくり」に触れたことがなかったので、町のために活動している市民がこんなにいるんだ!とカルチャーショックを受けました。例えば「つるし飾り」や「立ち達磨」で町おこしをしているグループがみえたり、スケボーパークがないからと作り始める人も。地域おこし協力隊として「町おこしをするぞ!」という気持ちで移住したのですが、すでに、町はおきていました(笑)
一同 町はおきていた!(笑)
大橋 PRのお手伝いなどで関わるうち、「集う場所」の必要性が見えてきて、まちづくりの活動拠点としてこの「node」という場所を作ったのですが、小学生が宿題をしに来るようになったり、親子連れがお散歩の途中でのぞいて下さったりと、想像以上に街の皆さんが様々な使い方をしてくれるようになりました。ここで出会った人同士で新しい活動が始まることもあって、楽しいことが生まれています!
都竹市長 楽しさって無限に種類があって、自分で出来る楽しさもあるし、誰かと一緒に何かをするのも楽しい。地方って誰がどこで何をしているか分かるから「ちょっと話そう」「ご飯でも食べよう」という関係を作りやすいですよね。人間関係を結んで「こんな事してみたいよね」と実現する早さは、仲間を見つけやすい小さな町だからこその強みだと思います。
竹之内 確かに、顔見知りのおじいちゃんおばあちゃんが話しかけてくれたり、ご近所さんとバーベキューをしたり顔が見える関係だからこその楽しさがあります。冬の雪かきなどでも助け合えています。
千田 お二人のお話を聞いて、楽しい活動には「人」が大事だと身に染みて感じました。小学生がここへ来るのも地域との関係が表れているし、飛驒市は人と人の近さを生かせているなと思います。
藤堂 小さい頃は地元について考えたことがなかったのですが、周りの人の話を聞いたりして、進学して離れても戻って来たいと思うようになりました。
やっぱり人との関わりという点で恵まれていて、話す力もつくと思います。
高校生は都会への憧れが強いと思いきや、
地元の良さを知っているんですね。
都竹市長 楽しさって無限に種類があって、自分で出来る楽しさもあるし、誰かと一緒に何かをするのも楽しい。地方って誰がどこで何をしているか分かるから「ちょっと話そう」「ご飯でも食べよう」という関係を作りやすいですよね。人間関係を結んで「こんな事してみたいよね」と実現する早さは、仲間を見つけやすい小さな町だからこその強みだと思います。
千田 都会に憧れる部分も少しはありますけど、飛驒の方が安心感があるのでここにいたいなと思っています。
藤堂 いつも竹之内くんと「都会はたまに行くのがいいな」と話すんですけど、出かけて飛驒へ帰って来るとホッとします。
竹之内 スマホがあれば手に入るものも多いし、都会から遅れていると感じることは少ないです。飛驒にないチェーン店の食べ物はいいなと思ったりします(笑)
大橋 それも、たまにお隣の富山に行けば事足りちゃったりして(笑)今はネットのお取り寄せも増えてますしね。
都竹市長 そう。昔って地方で手に入らないものが多かったんですよね。本やレコード・映画なども都会は種類が多くて、みんなの憧れも強かった。でも今は、モノもエンターテイメントもネットを通じて手に入るようになったもんね。友達と遊ぶのもオンラインだったりするでしょう?
竹之内 昼間は外でサッカーしたり、友達の家で遊んだりしますけど、夜はオンライン上で集まってゲームしたりもします。
都竹市長 うちの大学生の息子もよくオンラインで友達と話してるよ(笑)
これから進学・就職へ進む高校生へ、
環境が変わっても豊かさを見つけられる
ヒントをいただけませんか?
都竹市長 「仕事は遊び」ですよ! 市役所の仕事ってプロセスでは困難もあるけど、大橋さんが「node」を作ったように、なかったものが出来た時って「楽しい・嬉しい・面白い」でしょう?それを追求しているので、僕にとって仕事はある種「遊び」なんです。楽しみは無限に落ちているしね。僕が知事の秘書だった頃は、資料の糊付けやマーカーを引く作業ひとつでも、工夫して腕が上がると面白かったなあ。最初から楽しさを見つけられなくても、階段のように積み上がっていきますよ。一番簡単な方法は「喜んでもらうこと」じゃないかな。誰かに喜ばれるのって嬉しいじゃないですか。これがスタート時点で一番大事なことであり、最後までの目標・ベースでもある。仕事だけでなく、すべてにおいてそうです。合言葉は「楽しい・嬉しい・面白い」そして遊び心も大切にね。