2021.07.20 ASAGIRI
初夏から夏、森の中でひと際眼に留まるきれいな花があります。淡いピンク色の百合の花は、茎がスッと立ち上がり、頭頂部に2~3の花を咲かせます。葉や茎が「笹」に似ることから「ササユリ」という名前が付けられています。日本特産で、日本を代表する百合ですが、実は希少な植物です。自然の中で咲いている様子をぜひ「朝霧の森」でご堪能ください。
種は、「寒い冬」と「暑い夏」を越えないと発芽しない性質をもっているため、翌々年の春にようやく芽を出します。「ササユリ」の鱗茎(りんけい)を乾燥させたものは生薬で「百合(びゃくごう)」といいます。滋養強壮、解熱、鎮静、利尿作用などから漢方を処方される際によく配合されます。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とは古くから美人の例えとして使われますが、これらは全て婦人病の薬草として利用されています。芍薬や牡丹、百合の花の美しさを、外見だけに見立てたのではなく内面(健康)の美しさの意味も含まれているのです。花の美しさに加え、薬草の意味を知ると益々興味がわきますね。
薬草プロジェクト 白川・仲島
ササユリ