2021.04.19 ASAGIRI
秋の木漏れ日に彩りを添えていた葉もすっかり落葉し、森は冬の風景へと一変しています。
冬、一面が雪に覆われる朝霧の森は、市内でも降雪量が大変多い地域です。そんな環境の中でも見られる薬木が「コブシ・タムシバ」です。これらは秋には既に銀色の毛に包まれた蕾をつけており、このままじっと春を待ちます。この蕾を乾燥させたものは「辛夷(しんい)」と呼ばれ、鎮静・鎮痛などを目的に漢方でも使用されます。
コブシとタムシバは、早春にいち早く可愛らしい花を咲かせます。花は真っ白な6枚の花びらからなり、甘い香りがします。
「コブシ」の名は、蕾の形や開花の様子、でこぼこした果実の形状が「握りこぶし」に似ていることなどから付けられたとも言われています。また、日本特産であり「Kobushi」としてそのまま英名にもなっています。地方によっては、早春に花が咲くことから「田植え桜」や「種蒔き桜」などとも呼ばれ、農作業の準備の目安にされています。
冬の間、それぞれの形で春を待つ薬草たちの息吹を感じてみるのはいかがでしょうか。
薬草プロジェクト 白川・仲島
タムシバの花
コブシの実
雪が積もったウバユリ
冬の朝霧の森